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特集記事

千年かわらぬ秋祭(この先の千年も)

秋祭りの前日にラジオ局から電話がかかってきました。

祭り当日に神社から生リポートをしたいので、秋祭りの目的と行事内容を教えてほしいと。

目的かぁ…。

片埜神社(かたのじんじゃ)の秋祭りは毎年10月14日、15日の二日間に行われます。曜日にかかわらず、日にちで行われるので、今年はたまたま土日だけれど、平日に行われる年もあります。「子どもの頃はお宮さんの秋祭りには学校が休みになった」と、80代の総代さんがおっしゃっていました。

日本はお米の国だから、神社のお祭りの主なものは稲作の行程と縫い合わさるように行われています。 なかでも米の収穫時期に行われる「秋祭」を、例祭(れいさい)というもっとも重要な神事に位置づけている神社が多い。片埜神社もそのひとつです。

つまり「秋の実りを神様にお供えして、神様と一緒に飲み食いして豊作を祝い、村の繁栄を祈願する」のが、秋祭りの目的なのですが、片埜神社の秋祭は少なくとも千年以上前から行われているので、そうした昔からの風俗や文化を絶やさずに、後の世代につないでいくこともまた、祭りの重要な目的です。

いろんなフェスや文化祭と、神社のお祭りがちがうのは、そこに氏神さんがいて、氏神さんと一緒に地域の老若男女が音楽や夜店や楽しむというところ。たとえばお茶席のお茶とお菓子も、朝いちばんに神様に奉納され、お神楽や巫女舞も神様に奉納される。晩に行われる演歌歌手のステージも「奉納ショー」と呼ぶ。神社の場合、すべての行事は神と人が一緒に楽しむものなんです!

……という感じでしょうか。

さて、嵐のように過ぎ去った平成29年の秋祭りを振り返ります。

10月14日は宵宮(よいみや)と呼ばれ、いわゆる前夜祭のようなものです。

今年は、5年に1度ほど行われる「お稚児さんまいり」が午後3時からありました。

平安時代の金蘭装束を着た子どもたちが、桜で名高い牧野公園を練り歩き、片埜神社に宮入り。

行列の先頭は、道を祓う神職です。

つづいて、御神楽の笠井社中。

そのあと、宮司につづいて今年度の福娘、笠井さんと山崎さんが、金烏帽子ではなく、菊の花かんざしをつけてお稚児さんを先導。

親御さんと手をつないだ、お稚児さんが、お宮へと参進しました。(みんなかわいすぎる!)

お宮入りのあとは、お神楽奉納。扇舞という、金色の扇をくるくると回すおめでたい巫女舞でした。地元、牧野阪の笠井社中は数多くの舞曲を持ち、石清水八幡宮や吉田神社など京都の多数の神社でも毎年お神楽をされていますが、当社の祭典では剣の舞を多くされるので、扇の舞を見るのは初めてという方もたくさんおられました。

5時からは、こどもビンゴ大会。

「オッチャン、32番出してや~!」

などと、司会の総代さんに声をかける子どもら。

まんが映画は、「わんぱく王子の大蛇退治」(スサノオノミコトがヤマタノオロチをやっつける映画ですが、映像がすばらしい)を境内で上映しました。

10月15日は例祭の本宮(ほんみや)といって、朝10時からもっとも厳粛かつ古式にのっとった神事が執り行われました。

秋に収穫された品々を三方(さんぼう)30台にのせて神様の前にお供えし、地域の総代(そうだい)や自治会代表の参列のもと、祝詞(のりと)を奏上(そうじょう)し、地元の笠井社中(かさいしゃちゅう)によるお神楽が奉納されました。※御扉を開けて神前でおこなわれる厳粛な神事のため、祭典中の写真はありません。

そのあと、湯立て神楽(ゆだてかぐら)という、非常に古い形式の神楽(かぐら)が奉納されました。これは、ぐらぐらと煮えた釜の湯に、塩と酒を入れてお清めをし、巫女(みこ)が笹の葉をつかい、その湯を天高く上げるお神楽です。片埜神社では毎年10月15日におこなっています。

晩の7時からは、地元のこどもたちによる祭り太鼓、「豊年太鼓(ほうねんだいこ)」の奉納。

いつもは勢いだけで乗り切っているこども太鼓ですが、今年は入念な準備をし、ダンドリを決め、稽古をつみました。しかし本番は雨模様。じつにこの「豊年太鼓」、雨乞いの太鼓なのです。子どもたちの豊年太鼓がうまくなりすぎて本当に雨が降っちゃいました。めぐみの雨です。

そのあとに、本年度福娘の、笠井さんと山崎さんが、家内安全・商売繁盛を願う「えびす舞」を奉納しました。

彼女たちは、平成29年の片埜神社「枚方えびす祭」の福娘として、牧野愛する商店会が昨年末に行ったオーディションで選出されました。牧野便利マップのモデルになったり、商店会のイベントに参加したりと年間を通して地元のために活躍し、この秋祭りでも、お稚児さんの先導をつとめました。笠井さんは神楽舞、山崎さんは日本舞踊の素養があったので、二人で振り付けを考え、私が笛で節をつけたのが「えびす舞」です。つまり片埜神社福娘のオリジナル。舞のあと、二人は「福」にまつわるエピソードを楽しく話してくれました。

つづいては演歌歌手、堂本貴子(どうもとたかこ)さんの奉納演歌ショー。背がスラっと高くてきれいな人です。ラテンもまじえ、ハレ感満点のぱぁーっとしたステージでした。雨でお客さんがやや少なかったのが残念ですが、神様にもお喜びいただけたのではないでしょうか!

両日とも、境内には、夕方から夜店が出ており、神社のすぐ横にある阪会館では、裏千家流 山中宗勝(やまなかそうかつ)社中(しゃちゅう)によるお茶席、「祭り釜(まつりがま)」が設けられ、地元の方々がほっこりされていました。

私も15日の終了まぎわに、一服いただきにあがりました。地元の名店「三福」の生菓子をいただき、お抹茶をいただくと、のどからほわーっとあたたかくなり、体が軽くなる気がしました。裏千家流山中社中のたてるお茶は、本当においしく、心が翔びます。お茶席に行かれた氏子さんも口ぐちに「おいしかったわ~」とおっしゃいます。抹茶の選び方、お湯の温度、たて方、いろいろな要素があるのでしょうが、山中宗勝先生はじめ、社中の茶人の方々の、こざっぱりとした、明るい、かろやかな雰囲気が、お茶の味に出ているような気がしてなりません。ああ、私もお茶を習いたい!

そう考えているうちに、あっという間に一年が過ぎてしまうのですよね。

また来年も、同じ日、同じ時刻に、同じ場所で神事が行われます。「こどもの頃に行ったお祭りが、今も同じようにやっている」というのが、神社のお祭りのよきところなのです。

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