
黒革風の手帖
七五三の五歳のお祝いを、男女の双子で一緒にしたい、というご相談を受けた。(五歳は男児が袴を履き始める祝いの儀式なのだ)。もちろんさせていただきます、と即答した。私も男女の双子の親だから、その要望の切実さを知っている。 小学校に上がる寸前くらいまで、双子は一緒に遊び、一緒に風呂に入り、一緒にご飯を食べる。誕生日も一緒だからお祝いも一緒。炊飯器やリモコンのボタンを押す回数も、唐揚げの数も、好きな絵本を一番に読んでもらえる回数も一緒。喜びや楽しみの機会の均等は、双子育児において、ファースト・プライオリティなのである。そこに男も女も関係ない。 些細なことから重大なことまで、全て平等にしなくては、双子育児の日常は回らない。 たとえば外に遊びに出かけ、空き地の片隅に、プラスチック容器が一つ、落ちている。 幼児はそれに土を詰め込んだり、水たまりの泥でお料理ごっこしたり、さんざん遊べるので、とても重宝する。わざわざおもちゃのスコップセットを持参していたとしても、もう知っているそれらよりも、目新しいプラスチックゴミの方が幼児にとっては魅力的で、必ず争奪戦になる。